[ワークプレイス] バーチャルオフィスを比較するポイントは?

 最近、バーチャルオフィスという言葉をよく聞くようになりました。

 バーチャルオフィスは、仮想的な事務所であって、オフィスの物理的なサービスを提供せず、オフィスのソフト的な機能を提供するオフィスです。

  具体的には、バーチャルオフィスは、入居する個室のレンタルスペースではなく、法人登記するための住所を提供したり、郵便物や電話の転送をするなど、 オフィスがもつビジネス機能を提供する仮想的な事務所です。

  バーチャルオフィスは様々なタイプがあり、提供する機能や料金なども違います。

 本記事では、バーチャルオフィスを比較するポイントを整理して、解説します。

目次

バーチャルオフィスの背景

 在宅で個人事業主を始めたり、小さなスタートアップを起業したりする際、悩み事の1つが住所問題です。

 プライバシーの観点から、個人事業主の中には、自宅の住所をあまり知られたくないという方もいます。

 また、法人を起業する段階では、会社規模が小さく、歴史も短いため、どうしても十分な社会的信用や信頼が得られない場合もあります。そこで、法人登記の住所を地方都市や東京の一等地などに設けたいというニーズもあります。

 バーチャルオフィス(仮想事務所)は、このような背景があって、最近、急速に普及してきました。

バーチャルオフィスが提供する3つの主要サービス

  バーチャルオフィスの中には、法人に対して物理的なサービス(例:オフィスや会議室の貸し出しなど)も提供する施設もありますが、 バーチャルオフィスのサービスの中心は、法人への会社機能というソフト面でのサービスです。

  会社機能というソフト面でのサービスの中で主要なサービスが3種類あります。

① 住所の利用サービス

② 電話の代行/転送サービス

③ 郵便物や宅配物の受取り / 転送サービス

 バーチャルオフィスを利用する方の一番大きなニーズは①住所の利用です。

 普段は、自宅や小さなシェアオフィスで仕事をしつつ、法人登記や名刺に記載する住所をバーチャルオフィスの拠点の住所にしたいというニーズを持つ方が多いです。

 地方都市や東京に法人住所を設定することで、顧客や取引関係者の法人への印象が高まることが期待されます。

 バーチャルオフィスに法人住所を設定することで、外部からの連絡やお問い合わせがバーチャルオフィスに寄せられることがあります。

 したがって、 ②電話の代行/転送や③郵便・宅配物の受取り/転送も主要なサービスとなります。

  電話の代行サービスは、外部からバーチャルオフィスの固定電話への電話の着信を利用者の電話・スマートフォンにボイスワープなどで自動転送するというサービスではなく、電話秘書が電話の着信を取り次ぐサービスです。

バーチャルオフィスが増加している背景

 バーチャルオフィスの主要なサービスを利用することでオフィスのランニングコストを月額1.5~3万円程度に小さくすることができ、レンタルオフィス賃料や事務員の人件費などを大幅に圧縮することができます。

 スタートアップ時のベンチャーや都心・地方都市にクライアントをもつSOHO(個人事業主)などを中心にバーチャルオフィスの利用が広がっています。

 スモールオフィス(コワーキングスペース、レンタルオフィス)が増加している主な理由は、①モバイルワーク、②インターネットの普及、③ホワイトカラーの生産性向上、④働き方改革・テレワークですが、それら理由を後押しする要因として日本では長らくデフレが続き、ハード面の設備・不動産が供給過多となりオフィスの経済合理性がかなり小さくなってきたことが挙げられます。

 そういう背景もあって、いわゆる”箱物”がダウンサイジングされる圧力が生まれ、オフィスの省エネ化・高機能化がすすみつつ、技術や働き方の進歩に合わせるようにスモールオフィス(コワーキングスペース、レンタルオフィス)が増加してきました。

 バーチャルオフィスは、ハードとしての不動産やオフィスの経済合理性を究極にみがきあげた結果であり、立地がもつ信用とオフィスがもつ通信・配送の受け口だけをパッケージとしてサービス化したものと言えます。

バーチャルオフィスが提供するその他のサービス

  バーチャルオフィスが提供するその他のサービスは、概ね、3つに分類することができます。

④ ワークプレイス・会議室の貸与

⑤ ワーキングイベントサービス

 ④ ワークプレイス・会議室の貸与サービスは、バーチャルでなくリアルな付随サービスです。利用者は、顧客との商談や出張先での事務仕事の場所として、バーチャルオフィスが提供するワークプレイスや会議室などを貸し出すサービスを利用することができ、便利です。

 ワークプレイスとしては、個室型のレンタルオフィスタイプや共用型のコワーキングスペースが代表的です。

 ⑤ ワーキングイベントサービスは、人脈を形成するための様々なセミナーやイベントの提供を意味します。

バーチャルオフィスの拠点

 利用者にとってバーチャルオフィスの拠点(法人の住所)をどこにするかは大きな問題です。

 バーチャルオフィスの拠点は、普段の仕事場から最寄りの政令地方都市以上の都市とすることが一般的です。

 利用者の普段の仕事場からあまりにも遠く離れた場所を法人住所とする場合、リアルに顧客と商談などの会合を設ける場合に、そこまで出向くのに時間や費用が嵩んでしまって好ましくありません。

 逆に、普段の仕事場が地方にあって、そのすぐ近くにバーチャルオフィスの拠点を設けたとしても、 顧客や取引関係者の法人への印象がバーチャルオフィスの利用によって高まるという期待はあまり持てなくなります。

 そこで、普段の仕事場から最寄りの政令地方都市以上の都市にあるバーチャルオフィスの拠点を設ける方が多いです。

 バーチャルオフィスの拠点が多い都市は次の通りです。

東京都23区(銀座渋谷青山新宿など)、大阪市、札幌市、仙台市、川崎市、横浜市さいたま市、千葉市、静岡市、名古屋市京都市神戸市、岡山市、広島市福岡市

バーチャルオフィスの例

 具体的なバーチャルオフィス会社を紹介します。

サーブコープ

引用;サーブコープバーチャルオフィス (servcorp.co.jp)

 サーブコープはレンタルオフィスやコワーキングスペースを世界的に展開しているオーストラリアの会社です。

 2015年以降、日本では、コワーキングスペースが急激に普及しましたが、サーブコープもこの普及に対応するように各拠点にコワーキングスペースのワークプレイスを設けています。

 バーチャルオフィスサービスとして、シンプルな「貸し住所サービス」から充実した「プレミアムバーチャルオフィスサービス」まで幅白くプランが用意されています。

Regus(リージャス)

引用;Regus JP | レンタルオフィス、オフィススペース、貸し会議室、バーチャルオフィス

 Regus(リージャス)も、 サーブコープと同様に、グローバルに展開するレンタルオフィスプロバイダーです。

 2019年、貸しオフィスのTKPが日本リージャス株式100%を取得し、子会社化しました。

 TKPは、ハイグレードなレンタルオフィス「REGUS」、 コミュニティ型大型レンタルオフィス「SPACES」、 リーズナブルな無人レンタルオフィス「Openoffice」と、幅広いレンタルオフィスブランドのサービスを展開しています。

 REGUS(リージャス) は、レンタルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスと多様なビジネスサービスを提供していて、その1つがバーチャルオフィスサービスです。

 このような背景等から、④ワークプレイス・会議室の貸与サービス についても利用を考えている方はオススメのバーチャルサービスです。

Karigo

引用;バーチャルオフィスならKarigo|格安料金・安心サービスを全国から比較、検索

  Karigoは、コンパクトなバーチャルオフィスサービスをリーズナブルな料金で提供している会社です。

 また、Karigoは、バーチャルオフィス比較検索サイトを運営しており、サイトにはパートナー企業やオーナーの協力の元、全国様々な拠点・オフィスのバーチャルオフィス情報が掲載されています。

  バーチャルオフィスが提供する3つの主要サービスまたはその一部のみを安く利用したいスタートアップの方には、オススメのバーチャルオフィスです。

 Karigo利用者の口コミ・評判をまとめた記事もぜひご覧ください。

バーチャルオフィスの比較ポイント7つ

 現在、多くのバーチャルオフィスが、都市や地方都市を中心に営業しています。

 バーチャルオフィスのサービス内容も様々で、比較するポイントがやや分かりづらいかもしれません。

  バーチャルオフィスを選ぶ時の比較ポイント7つを解説します。

ポイント1 料金
ポイント2 3つの主要サービス
ポイント3 ワークプレイス
ポイント4 受付・秘書・ITサービス
ポイント5 同一住所に登記する企業
ポイント6 銀行口座開設の実績
ポイント7 許認可事業の登記

ポイント1 料金

 利用するサービス内容と立地などによって料金は大きく変わります。

 東京都心または地方都市のバーチャルオフィスを拠点に、3つの主要サービス+少しのオプションサービスを受ける場合には、だいたい5,000~30,000円くらいの月額料金が発生します。

  例えば、Karigoのバーチャルオフィスを拠点に、3つの主要サービス(住所、郵送物管理、電話代行)を受けた場合、月額基本料金は8,300円〜となります。

  また、サーブコープの 名古屋市にあるバーチャルオフィスを拠点に、3つの主要サービス(住所、郵送物管理、電話代行)を含むサービスを受けた場合、月額基本料金は23,200円となります(出典;サーブコープ バーチャルオフィス名古屋日興證券ビル)。

 月額料金「5,000~30,000円」くらいを1つの目安として、料金比較することをおすすめします。

ポイント2 3つの主要サービス

①住所利用

 自宅などの普段の職場の住所を公開したくない、主要都市の住所利用によってその信用や信頼をビジネスに生かしたいという方がバーチャルオフィスを利用するので、住所利用は最も重要なバーチャルオフィスのサービスです。

 住所の利用の仕方の代表は「法人登記」です。その他、会社カタログ、ホームページ、名刺、DMの発送元住所、郵送受領住所などに拠点住所を利用するサービスも含まれます。各バーチャルオフィスで希望する住所利用が可能かどうかを念のためチェックして比較することをおすすめします。

 なお、バーチャルオフィスでは認可が下りない業種があります。許認可が必要な事業の場合はあらかじめ バーチャルオフィス の利用が可能かどうかの確認が必要です。

②郵便物・宅配物の管理・転送

  郵便物・宅配物の受取り代行・管理が基本的なサービスとなります。

  郵便物・宅配物を自宅などに転送する場合、送料と手数料が別途に発生する場合があります。

 転送頻度はバーチャルオフィスや契約によってまちまちであり、毎日、週一、月一という具合で決まっています。転送手段としてメール便などが利用され、紛失等の責任についても契約次第です。

 内容証明郵便や特別送達の類の特定の郵便物、生き物、年金通知、裁判所などからの公的・法的効力のある文書などについて受取り除外の対象とするバーチャルオフィスもあります。

 郵便物・宅配物の受取り除外対象、自宅などへの転送の頻度と追加費用、および紛失等の責任について、個々のバーチャルオフィスサービスについて確認して比較することをおすすめいたします。

③電話代行・転送

 各バーチャルオフィスの電話代行/転送サービスについては、様々です。

 一般的に電話代行の方が電話転送よりも料金が高いです。

  電話代行と電話転送のいずれを希望するか(あるいはどちらも希望するか)を考慮して、バーチャルオフィスを比較することがおすすめです。

ポイント3 ワークプレイス

 バーチャルオフィスサービスを提供する会社の中には、レンタルオフィスやコワーキングスペースも運営している会社もあり、そういった会社では、バーチャルなオフィス機能のみならず、リアルなオフィス利用サービスを提供している会社もあります。

 例えば、 サーブコープの 名古屋市にあるバーチャルオフィスを拠点に、3つの主要サービス(住所、郵送物管理、電話代行)を含むサービス(バーチャルオフィスパッケージ)を受けた場合、月額基本料金は23,200円となります(出典;サーブコープ バーチャルオフィス名古屋日興證券ビル)が、このサービスには契約都市の個室オフィス無料利用も含まれます。

 クライアントの商談、ビジネスパートナーとの打ち合わせ、出張先での事務作業場の確保などの目的で、バーチャルオフィスの利用プランの中に、ワークプレイスの利用が含まれていると都合がよい場合があります。

 このようなワークプレイス利用のサービスも受けたい場合には、そのサービス内容や料金を含めて、 バーチャルオフィスを比較することがおすすめです。

ポイント4 受付・秘書・ITサービス

 ワークプレイスを省いてコストダウンすることができるバーチャルオフィス。スタートアップ企業、ベンチャー、フリーランスのランニングコストをかなり抑えることができる心強い味方です。

 バーチャルオフィスを利用する企業の中には、経理・庶務・秘書業務をアウトソーシングしたい企業もあります。

 特に固定費を圧縮したい中小企業は、間接業務部門を自社で抱えるのではなく、アウトソーシングしたいと考える傾向が強いです。

 庶務のアウトソーシングニーズに応える「オンライン秘書」などのサービス(例:フジ子さん | オンラインアシスタント 月額5.17万円~ 1ヶ月利用も可 (fujiko-san.com))も利用されますが、バーチャルオフィスでバックオフィスのアウトソーシングを一元管理することができれば便利で効率的です。

 例えば、サーブコープでは、バーチャルオフィスにおいて、「受付」「秘書」「IT」サービスも提供されています。このようなアウトソーシングサービスをバーチャルオフィスで一元管理することで、効率化を図ることができます。

サーブコープのバーチャルオフィスでは、高度な訓練を受けたバイリンガルの受付スタッフと秘書を必要な時にいつでもご利用いただけます。専属の受付担当者が、お客様の会社名とご指定の方法で電話に対応します。受付担当はお客様のビジネスの “顔 “となり、クライアントはきっと感銘を受けることでしょう。専属の秘書は、営業電話から翻訳・通訳、ウェブサイトの作成まで、お客様の様々なビジネスニーズに対応します。当社のグローバルITサポートを利用すれば、PCのトラブルシューティングやコンピューターウイルス対応などのITに関わる問題を、現地の社内ITエキスパートに相談することができます。

一等地のバーチャルオフィス登記可| サーブコープ (servcorp.co.jp)

ポイント5 同一住所に登記する企業

 バーチャルオフィスでは同一住所に複数の企業が登記する場合があります。しかし、類似商号を同一住所で登記できませんので、法務局などであらかじめ調べておく必要があります。

 同一住所に登記されている企業の信用度も重要です。反社会的な企業が同一住所に登記していると、コストを抑えつつ一等地でブランド力を活用しようとするバーチャルオフィスの利用の目的にも反します。

 利用しようとする住所に会社登記することを考えている場合には、1)本店所在地を管轄する法務局に行き、調査をする、2)登記情報提供サービスを利用して登記情報を調査するなど、あらかじめどのような企業が同一住所に登記しているかを確認しておくことが大切です。

 こういった登記に関する事前調査の相談を受け付けてくれるバーチャルオフィスであれば安心も高まります

ポイント6 銀行口座開設の実績

 バーチャルオフィスを利用して一等地の住所を登記し、法人の銀行口座を開設しようとする場合、銀行によっては口座を開設できない場合もあるようです。銀行によって、口座開設のための書類や審査内容は異なりますので、法人のための銀行口座開設について実績があるバーチャルオフィスを利用することをおすすめします。

 例えば、代表的なバーチャルオフィスの1つであるワンストップビジネスセンターでは、企業の銀行口座開設にノウハウがあるので、こういった銀行口座開設に実績あるバーチャルオフィスを利用することをおすすめします

新規にバーチャルオフィスを検討されているお客様からは相変わらずバーチャルオフィスでの銀行口座開設の可否についての問い合わせがあります。もちろん、必要な書類の準備、それに伴う銀行独自の審査は当然ありますが、大きな流れでいいますと、銀行口座開設は可能です。都市銀行、ネット銀行どれも関係なく口座開設は可能です。ただし、口座開設には必要な書類の準備など「コツ」がありますので、詳しくはスタッフにお問い合わせくださいませ

東京青山のバーチャルオフィス ワンストップビジネスセンター青山本店 | ワンストップビジネスセンター (1sbc.com)

ポイント7 許認可事業の登記

 許認可事業では、バーチャルオフィスを利用した住所登記を認めない事業もあります。許認可事業としては、ペットショップ、労働者派遣事業、生菓子販売業などです。特に気をつけたいのが、こういった許認可物品やサービスをネットショップで提供する場合です。

 許認可事業についてバーチャルオフィスの住所利用の可否を相談できるバーチャルオフィスを選ぶと事前トラブルが発生しにくくなるという点で好ましいです。

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