新型コロナウィルスの流行をきっかけとして半ば強制的に始まった社会のテレワーク化。
このとき、多くの方がはじめてテレワークを開始し、様々な課題が噴出しました。
いくつかの会社がテレワークの実際に関するアンケート調査を実施しています。
今回は、事務職員やその勤め先が抱える具体的なテレワークの課題(デメリット)を課題分類に当てはめて分析しました。
本記事を読むと、事務職員のテレワークの各課題が、勤務する組織に主に原因がある課題とその事務職員に主に原因がある課題のどちらに偏っているかを理解することができます。
本記事を読むと、組織に主に原因がある各課題は、1)組織管理、2)コミュニケーション、3)電子化、のどのタイプに偏っているかを理解できます。
本記事を読むと、事務職員に主に原因がある各課題は、1)働く場所、2)自己管理、3)経済的課題、のどのタイプに偏っているかを理解できます。
アンケート調査
新型コロナウイルスの影響でテレワークを経験した全国の20~50代男女(正社員/派遣社員)事務職の400人に対し、テレワーク導入後の働き方に関する意識調査がなされました(出典;「テレワーク導入後の働き方に関する意識調査」スタッフサービス・ホールディングス調べ、2020年6月)
アンケート調査で明らかになった課題
アンケートでは、テレワークの課題(デメリット)が調査されました。
課題 | 課題を指摘した方の割合(%) |
---|---|
運動不足 | 46.8 |
社内コミュニケーションの減少 | 45.3 |
紙の書類のやり取りができない | 40.8 |
勤務時間の線引きの難しさ | 29.0 |
仕事のオンオフの難しさ | 26.8 |
集中して仕事できない | 24.5 |
通信光熱費の増加 | 22.5 |
業務効率の低下 | 22.3 |
ハンコの苦労 | 20.0 |
仕事の進捗が把握できない | 16.5 |
作業スペースがない | 16.0 |
運用が整っていなくて非効率 | 13.0 |
孤独感 | 12.0 |
Wi-Fi環境やPC環境が整ってない | 8.5 |
家電・家具不足 | 6.3 |
育児・介護による中断 | 5.0 |
残業時間の増加 | 4.3 |
夫婦げんか | 1.8 |
各課題を課題分類へ当てはめて分析(外部課題/内部課題)
アンケート調査では、計18課題が指摘されていました。
18課題のうち、原因が複合的な課題「業務効率の低下」を除き、計17課題を取り上げて分類しました。
17課題は、課題分類に沿って、分類されました。
課題 | 課題分類 |
---|---|
1 運動不足 | 内部課題 ②自己管理 |
2 社内コミュニケーションの減少 | 外部課題 ②コミュニケーション |
3 紙の書類のやり取りができない | 外部課題 ③電子化 |
4 勤務時間の線引きの難しさ | 内部課題 ②自己管理 |
5 仕事のオンオフの難しさ | 内部課題 ②自己管理 |
6 集中して仕事できない | 内部課題 ①働く場所 |
7 通信光熱費の増加 | 内部課題 ③経済的課題 外部課題 ①組織管理 |
8 業務効率の低下 | 分類不可 |
9 ハンコの苦労 | 外部課題 ③電子化 |
10 仕事の進捗が把握できない | 外部課題 ①組織管理 |
11 作業スペースがない | 内部課題 ①働く場所 |
12 運用が整っていなくて非効率 | 外部課題 ①組織管理 |
13 孤独感 | 外部課題 ①組織管理 |
14 Wi-Fi環境やPC環境が整ってない | 内部課題 ①働く場所 |
15 家電・家具不足 | 内部課題 ①働く場所 |
16 育児・介護による中断 | 内部課題 ①働く場所 |
17 残業時間の増加 | 内部課題 ②自己管理 外部課題 ①組織管理 |
18 夫婦げんか | 内部課題 ①働く場所 |
テレワーク課題は事務職員に原因がある?勤め先に原因がある?
本記事では、個人に主に原因がある課題を「内部課題」と称します。
同様に、組織に主に原因がある課題を「外部課題」と称します。
計17のテレワークの各課題を 「内部課題」と「外部課題」 に 分類しました。
結果、 17のテレワークの各課題は、「内部課題」「外部課題」 に同じ程度に分類されました。
つまり、計17の各課題の原因は、「組織」「事務職員」にほぼ同等に存在していることになります。
事務職のテレワーカーの課題を解決するために、組織と事務職は同じ程度に解決のための努力を払っていく必要がありそうです。
内部課題(事務職員に原因があるテレワーク課題)の分類
テレワーク課題のうち、個人に主に原因がある課題を内部課題と称しています。
内部課題は、①働く場所の課題、②自己管理上の課題、③経済的課題の3つに大別されます。
計17のテレワークの各課題のうち、10個の課題は内部課題でした。
10個の内部課題を、①~③に分類しました。
事務職に主に原因がある課題の半分程度は、その事務職が働く場所に起因する課題であって、残りの半分程度は、その事務職の自己管理上の課題であることが分かりました。
事務職のお財布上の課題は殆どありませんでした。具体的には、「通信光熱費の増加」のみです。
事務職員がテレワーカーとなる際、自宅などの働く場所に起因する課題や自己管理的な課題にたいして、等しく解決していく努力が重要と言えそうです。
外部課題(勤め先に原因があるテレワーク課題) の分類
テレワーク課題のうち、組織に主に原因がある課題を外部課題と称しています。
外部課題は、①組織管理、②コミュニケーション、③電子化の3つに大別されます。
計17のテレワークの各課題のうち、8個の課題は外部課題でした。
8個の外部課題を、①~③にさらに分類しました。
組織に主に原因がある課題の多くは、コミュニケーションや電子化(ペーパーレス、ハンコレス)といったよく聞く課題ではなく、残業時間の増加や会社員のソロワークによる孤独感など、組織的に管理すべき課題であることが分かりました。
したがって、組織は、事務職の円滑な業務のため、コミュニケーションや電子化(ペーパーレス、ハンコレス)以外にも、組織的に対処すべきテレワーク課題がないかを丁寧にヒアリングなどして検討していく必要がありそうです。
ただし、 コミュニケーションや電子化(ペーパーレス)は、多くの事務職が指摘する課題(45.3%、40.8%)であることから、残りの組織管理上の課題と同程度にバランスよく対応していくことが好ましいと言えます。
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