[テレワーク] 事務職・営業職・研究開発職・システムエンジニアのテレワークの課題(デメリット)を分析

 2020年3月、新型コロナウィルスの流行をきっかけとして半ば強制的に始まった社会のテレワーク化。

 このとき、多くの方がはじめてテレワークを開始し、様々な課題が噴出しました。

 いくつかの会社がテレワークの実際に関するアンケート調査を実施しています。

  今回は、NTTデータ経営研究所等によるアンケート調査で明らかになった個人や組織が抱える具体的なテレワークの課題(デメリット)を課題分類に当てはめて分析いたします。

 前回は、事務職の方やその勤務先が抱える具体的な課題の分析でした。

 今回の調査対象は、経営職を含む、事務職・営業職・研究開発職・設計職・システムエンジニアなど会社員(正社員)全般です。今回、前回より調査対象の職種が広い点に特徴があります。

 本記事を読むと、会社員のテレワークの各課題が、勤務する会社に主に原因がある課題とその会社員に主に原因がある課題のどちらに偏っているかを理解することができます。

 本記事を読むと、 会社に主に原因がある各課題は、1)組織管理、2)コミュニケーション、3)電子化、のどのタイプに偏っているかを理解できます。

 本記事を読むと、 会社員に主に原因がある各課題は、1)働く場所、2)自己管理、3)経済的課題、のどのタイプに偏っているかを理解できます。

目次

アンケート調査

  新型コロナウイルス流行後、初めての緊急事態宣言が発令された直後、テレワーク・リモートワークの取り組み状況などがアンケート調査されました。

 アンケート対象者は、従業員規模 10 名以上、経営者・役員を含む雇用者(正社員)、20 歳以上のホワイトカラー(事務職・営業職・研究開発職・設計職・システムエンジニア)会社員でした(出典;緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方、 NTTデータ経営研究所等、2020年4月)。

アンケート調査で明らかになった課題

 アンケートでは、テレワークの課題(デメリット)が調査されました。

課題課題を指摘した方の割合(%)
時間管理が難しい42.8
仕事のオンオフの難しさ 40.4
運動不足38.4
コミュニケーションがとりにくい37.7
テレワークの仕事の限界34.2
職場の様子が分からない31.6
社内の情報が確認しづらい30.0
目が疲れる21.9
やる気がでない18.3
集中できない17.2
セキュリティの確保16.8
対面がなく物足りない15.7
食べ過ぎ15.7
ストレス発散しにくい14.1
長時間労働8.8

各課題を課題分類へ当てはめて分析(外部課題/内部課題)

 アンケート調査では、計15課題が指摘されていました。

 15課題を、課題分類に沿って分類しました。

課題課題分類
1 時間管理が難しい内部課題 ②自己管理
2 仕事のオンオフの難しさ 内部課題 ②自己管理
3 運動不足内部課題 ②自己管理
4 コミュニケーションがとりにくい外部課題 ②コミュニケーション
5 テレワークの仕事の限界外部課題 ①組織管理
外部課題 ③電子化
6 職場の様子が分からない外部課題 ②コミュニケーション
7 社内の情報が確認しづらい外部課題 ②コミュニケーション
8 目が疲れる内部課題 ①働く場所
内部課題 ②自己管理
9 やる気がでない内部課題 ②自己管理
10 仕事以外が気になり、集中できない内部課題 ①働く場所
11 セキュリティの確保外部課題 ①組織管理
12 対面がなく物足りない外部課題 ①組織管理
13 食べ過ぎ内部課題 ②自己管理
14 ストレス発散しにくい内部課題 ②自己管理
15 長時間労働内部課題 ②自己管理
外部課題 ①組織管理

テレワーク課題は会社員に原因がある?会社に原因がある?

 本記事では、会社員に主に原因がある課題を「内部課題」と称します。

 同様に、会社に主に原因がある課題を「外部課題」と称します。

 計15のテレワークの各課題を 「内部課題」と「外部課題」 に 分類しました。

 結果、 計15のテレワークの各課題は、「内部課題」「外部課題」 にだいたい同じ程度に分類されました。

 前回の事務職対象の調査から明らかとなったテレワーク課題の分類結果とほぼ同様です。

 計15の各課題の原因は、「会社員」「会社」 にほぼ同等に存在していることになります。

 ホワイトカラー会社員のテレワーキング課題を解決するため、会社と会社員は同じ程度に解決のための努力を払っていく必要がありそうです

内部課題(会社員に原因があるテレワーク課題)の分類

 テレワーク課題のうち、会社員に主に原因がある課題を内部課題と称しています。

 内部課題は、①働く場所の課題、②自己管理上の課題、③経済的課題の3つに大別されます。

 計15のテレワークの課題のうち、10個の課題は内部課題でした。

 10の内部課題を、①~③に分類しました。

 会社員(事務職・営業職・研究開発職・設計職・システムエンジニア)に主に原因がある課題の大半は、自己管理上の課題であることが分かりました。

 事務職員に主に原因がある課題は、自宅などの働く場所に起因する課題と自己管理上の課題にほぼ等しく分けられた前回の分析結果と大きく異なりました。

 この課題分類の差は理論的には以下の①②の差に起因すると思います。

 ① 事務職はコツコツ正確に処理する業務が多いため自己管理しやすい仕事であるが、研究開発職や経営職など創造的あるいは高視座な仕事は裁量性が元々高く、仕事を自宅などに持ち込むことで自己管理しづらくなる

 ②今回の会社員(ホワイトカラー)を対象した調査は2020年4月に実施され、前回の事務職員を対象した調査は2020年5月に実施された。わずか1ヶ月の差であるが、今回の会社員(事務職・営業職・研究開発職・設計職・システムエンジニア)はテレワーク慣れし、緊張感が薄れ、自己管理しづらくなった。

外部課題(会社に原因があるテレワーク課題) の分類

 テレワークの各課題のうち、会社に主に原因がある課題を外部課題と称しています。

 外部課題は、①組織管理、②コミュニケーション、③電子化の3つに大別されます。

 計15のテレワークの課題のうち、8個の課題は外部課題でした。

 8の外部課題を、①~③にさらに分類しました。

  前回の調査結果では、会社に主に原因がある課題の多くは、コミュニケーションや電子化(ペーパーレス、ハンコレス)といったよく聞く課題ではなく、残業時間の増加や会社員のソロワークによる孤独感など、組織的に管理すべき課題であることが分かりました。

 今回の調査結果は、コミュニケーション上の課題がより多く指摘されています。

 この課題分類の差は理論的には調査対象の職種の違いに起因すると思います。

 つまり、事務職は情報処理対象さえ揃えば処理の仕方は決まっているので自己で完結しやすいが、研究職や経営職など多くのコミュニケーションを必要とする職種では、テレワークによってコミュニケーション不足が仕事に与える影響が大きいと考えられます。

 テレワークに向いている業種と向いていない業種があります。

 同様にテレワークに向いている職種と向いていない職種もあります。

 研究職や経営職など多くのコミュニケーションを必要とする職種はテレワーク化が可能であるが、コミュニケーション不足が仕事に与える影響が大きいと考えられることから、会社は、職種に応じて、注力すべき課題を捉えて対応する必要がありそうです。

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